春が近づくと、
和菓子の表情が少しずつ変わっていきます。
同じあんこでも、
どこかやわらかく、
やさしい味にしたくなる。
不思議なものです。
気温が上がり、
空気がゆるみ、
人の気持ちも少し軽くなる。
その変化は、自然と手の動きに表れます。
小豆を炊いていると、冬とは違う“音”がします。
水の含み方も、
火の通り方も、
ほんの少し変わる。
だから、
同じようにやっていても、
同じにはならない。
季節に合わせる、というのは、
特別なことではなく、
気づくことなのだと思います。
今日は少し暖かい。
今日は風がやわらかい。
その小さな違いに、手を合わせていく。
桜の季節が近づくと、
自然と「春らしいもの」を求められます。
けれど本当は、形だけではなく、
味や余韻の中にも、春を感じてもらいたい。
ふわっと軽く、
どこか儚く、
あとに残りすぎない甘さ。
そんなあんこを目指して、
今日も鍋に向かいます。
日曜日の朝。
少しだけ、空気がやわらいできたこの頃。
季節は、確実に進んでいます。
今日の一日も、
今だけの一日。
今日も、
日日是好日。
