009 木挽町よしや「残心」

「残心(ざんしん)」。

物事が終わったあとにも、
心を残す。

茶道では、一席が終わった後の所作に、
その人のすべてが現れるといわれます。

茶を点て終えたあと。
道具を下げるとき。
客を見送るとき。

その一つひとつに、
気のゆるみがないかどうか。

むしろ、終わった瞬間こそ、
本当の姿が出るのかもしれません。

良い一席だった、と思ったあとに、
ふとした所作が雑になる。
それだけで、空気は崩れてしまう。

だから残心。

終わりまでが一つの流れであり、
終わったあとにも、その余韻を大切にする。

和菓子屋の仕事でも、
同じことを感じます。

どら焼きを焼き終えたあと。
店を閉めたあと。
一日の仕事が終わったその瞬間。

気を抜こうと思えば、いくらでも抜ける。

けれど、
最後の一つを包む手。
最後に拭く台。
最後に見る店の景色。

そこに、その日のすべてが表れます。

良い一日は、
終わり方がきれいです。

そしてその終わり方が、
次の日の始まりをつくる。

日曜日の夕方。
少しずつ月曜日が近づいてくる時間。

気が重くなることもあるかもしれません。

けれど、今日という一日を、
どう終えるか。

その静かな積み重ねが、
明日の自分を支えてくれます。

残心。

終わりを、丁寧に。

今日も、
日日是好日。

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