「残心(ざんしん)」。
物事が終わったあとにも、
心を残す。
茶道では、一席が終わった後の所作に、
その人のすべてが現れるといわれます。
茶を点て終えたあと。
道具を下げるとき。
客を見送るとき。
その一つひとつに、
気のゆるみがないかどうか。
むしろ、終わった瞬間こそ、
本当の姿が出るのかもしれません。
良い一席だった、と思ったあとに、
ふとした所作が雑になる。
それだけで、空気は崩れてしまう。
だから残心。
終わりまでが一つの流れであり、
終わったあとにも、その余韻を大切にする。
和菓子屋の仕事でも、
同じことを感じます。
どら焼きを焼き終えたあと。
店を閉めたあと。
一日の仕事が終わったその瞬間。
気を抜こうと思えば、いくらでも抜ける。
けれど、
最後の一つを包む手。
最後に拭く台。
最後に見る店の景色。
そこに、その日のすべてが表れます。
良い一日は、
終わり方がきれいです。
そしてその終わり方が、
次の日の始まりをつくる。
日曜日の夕方。
少しずつ月曜日が近づいてくる時間。
気が重くなることもあるかもしれません。
けれど、今日という一日を、
どう終えるか。
その静かな積み重ねが、
明日の自分を支えてくれます。
残心。
終わりを、丁寧に。
今日も、
日日是好日。
